花木図鑑|ひみつの花園 | サクラ ”ウミネコ"
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花木図鑑

FLOWERS AND TREES

3月

4月

サクラ ”ウミネコ"

  • 花が咲く
  • 香りがする
  • 高木
  • 落葉樹
マメザクラとオオシマザクラの交配種で主にヨーロッパで広く栽培されています。枝があまり横に広がらず上向きに伸びるのが特徴です。

 

<‘ウミネコ’桜の特徴>

‘ウミネコ’を知っている人は、かなりの桜好きかもしれません。‘ウミネコ’という名前は日本の水鳥が由来ですが、イギリス生まれの桜で、イギリスやヨーロッパで広く栽培されています。日本に逆輸入されたものの、ソメイヨシノが隆盛を極める日本ではそこまで普及していないようです。よほど桜に詳しい人でなければ、花を見て‘ウミネコ’の名前を言い当てることは難しいでしょう。‘ウミネコ’の特徴は、オオシマザクラによく似た白い花と横に広がることなく上に向かって伸びる枝ぶりです。隣の家まで枝を伸ばす心配が少ないので、日本の庭に植えるのにも向いているかもしれません。

 

<‘ウミネコ’桜の成り立ち>

‘ウミネコ’は、1920年代にイギリス人のコリングウッド・ イングラム氏がマメザクラとオオシマザクラを交配させて誕生した桜です。‘ウミネコ’の白い花は、親にあたるオオシマザクラを受け継いでいるのです。
不思議なことに、ほぼ同じ時期にオランダでは、A・ドレンボスという人が同じ交配を成功させ、こちらもなぜか鳥の名前にちなんだ名前、‘スノーグース’と名付けられました。今でも、‘スノーグース’という桜がアメリカで売られていたり、カナダに植えられているという情報がありますが、日本では見かけません。
なぜ‘スノーグース’ではなく‘ウミネコ’の名前の方が日本で見られるかといえば、イギリスのイングラム氏が日本に深い縁のある人物だったからでしょう。

 

<‘ウミネコ’の生みの親、イングラム氏と日本の桜>

ウミネコ桜の生みの親、コリングウッド・イングラム(1880年〜1981年)はイギリスの裕福な家に生まれ、もともと鳥類学者として日本でも仕事をしていた人物です。20代に2回来日していて、このとき日本の桜に魅了されたのだそうです。1919年に転居した邸宅の庭に日本の桜が植えられていたことをきっかけに、イングラム氏は本格的に桜収集をスタートさせます。
1926年には日本の桜の世界的権威といえる存在になっていたイングラム氏は講演のために3度目の来日をします。そして、自邸の庭にあるサクラが日本にはないことに気がついたのです。
日本ではソメイヨシノが全盛で、イングラム氏の庭にあった桜は日本から失われてしまっていました。イングラム氏は桜の里帰りを提案し、数度の失敗を乗り越え、無事に日本に里帰りを果たしました。この桜には名前がなかったのですが、改めて‘タイハク(太白)’と名づけられ、今も日本で見ることができます。
イングラム氏は、‘タイハク’のようにもともと日本にあった桜を守るだけではなく、桜の新種を50種類以上も誕生させています。そのうちの一つが‘ウミネコ’桜なのです。
イギリスで生まれた桜になぜかUminekoという名前がついていることも、イングラム氏が日本びいきの鳥類学者であったことを知ると合点がいきます。
 
分類 バラ科モモ亜科スモモ属(サクラ属)
樹形 高木落葉広葉樹
学名・英名 Cerasus serrulata ‘Umineko’
別名 海猫桜・ウミネコザクラ
花言葉 (サクラ全般では)精神の美・優美な女性
鑑賞期 3月下旬~4月
花の色
関連LINK 日本花の会「桜図鑑」
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モデル協力:もり・りさ 中尾 聖