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藪萱草 ヤブカンゾウ
- 花が咲く
- 多年草
- 山野草
- 動画情報あり
夏の盛りに野山に咲く八重咲のオレンジの野草。紡錘状に連なった根は、生薬「萱草根(かんぞうこん)」と呼ばれ、利尿、涼血、消炎、止血薬に使われる。万葉集に「萱草(わすれぐさ) わが紐(ひも)に付く 香具山(かぐやま)の 故(ふ)りにし里を 忘れむがため」と謳われている。
日本各地の土手、野原、林縁に自生する藪萱草は、地下茎で広がる性質があり、群生する姿が見られます。最近では、園芸用の苗も流通しています。
薬用になるのは、つぼみ、葉、根の部分です。つぼみにはキンシンサイ(金針菜)、根にはカンゾウ(萱草)という生薬名がついています。キンシンサイを煎じた液には解熱作用があり、カンゾウを煎じた液には利尿作用のほか、むくみ、不眠に効くそうです。葉にも利尿作用があります。
藪萱草は食用にもなります。新芽を酢味噌和えにしたり、つぼみを炒め物にしたりすると美味しいことで知られ、道の駅などで買うこともできます。
同じカンゾウという名前の生薬に「甘草」と書くものもありますが、こちらはマメ科で解熱鎮痛や消炎作用のあるまったく別の植物です。
「忘れ草」は奈良時代に編纂された『万葉集』にも5首が詠まれています。「忘れ草」と呼ばれた由来は「花の美しさが憂いを忘れさせてくれるから」だそう。他に「花のつぼみや新芽を食べると、心配事も吹き飛ぶほどに美味しいから」という説もあります。
しかし、詠まれた歌を見てみると「忘れ草を植えたのに効きめがなく、あの人を恋しく想う気持ちが忘れられない」「私の家には忘れ草がないので、好きな人が忘れられない」といった歌ばかりです。忘れ草のおかげで悩みを忘れられたというエピソードでは、短歌にはならなかったのかもしれません。
時代が下り、平安時代に書かれた『源氏物語』にも「忘れ草」は何度か登場します。『源氏物語』にはもっぱら「忘れ草生ふ」という形で出てきます。これは「忘れる」という意味です。博学な紫式部にとっては、単に「忘る」と書くより「忘れ草生ふ」とした方が自然だったのかもしれません。深読みをすれば、何かを忘れられるかどうかは自分の意思では決められない、という想いが込められているようにも感じられます。
また、「一夜の恋」という花言葉もあります。こちらは藪萱草の花が朝咲いて夕方にはしぼむ「一日花」であることから来ているようです。
<日本各地で見られる藪萱草>
藪萱草(ヤブカンゾウ)は、ススキノキ科ワスレグサ属の多年草です。以前はユリ科とされていましたが、DNA解析を元に、今はススキノキ科に分類されています。6月から9月頃、スカシユリに似た鮮やかなオレンジ色の花を咲かせます。日本各地の土手、野原、林縁に自生する藪萱草は、地下茎で広がる性質があり、群生する姿が見られます。最近では、園芸用の苗も流通しています。
<薬として伝来した藪萱草>
藪萱草は、奈良時代よりも前に、食用や薬用の目的で中国から伝来した萱草が野生化したものです。もともと人の手によって育てられていた植物のため、今でも山野よりも人家に近い地域によく見られます。薬用になるのは、つぼみ、葉、根の部分です。つぼみにはキンシンサイ(金針菜)、根にはカンゾウ(萱草)という生薬名がついています。キンシンサイを煎じた液には解熱作用があり、カンゾウを煎じた液には利尿作用のほか、むくみ、不眠に効くそうです。葉にも利尿作用があります。
藪萱草は食用にもなります。新芽を酢味噌和えにしたり、つぼみを炒め物にしたりすると美味しいことで知られ、道の駅などで買うこともできます。
同じカンゾウという名前の生薬に「甘草」と書くものもありますが、こちらはマメ科で解熱鎮痛や消炎作用のあるまったく別の植物です。
<『万葉集』『源氏物語』にも“忘れ草”として登場>
藪萱草は、姿のよく似た野萱草(ノカンゾウ)、キスゲなどとともに、「忘れ草」と呼ばれることもあります。「忘れ草」は奈良時代に編纂された『万葉集』にも5首が詠まれています。「忘れ草」と呼ばれた由来は「花の美しさが憂いを忘れさせてくれるから」だそう。他に「花のつぼみや新芽を食べると、心配事も吹き飛ぶほどに美味しいから」という説もあります。
しかし、詠まれた歌を見てみると「忘れ草を植えたのに効きめがなく、あの人を恋しく想う気持ちが忘れられない」「私の家には忘れ草がないので、好きな人が忘れられない」といった歌ばかりです。忘れ草のおかげで悩みを忘れられたというエピソードでは、短歌にはならなかったのかもしれません。
時代が下り、平安時代に書かれた『源氏物語』にも「忘れ草」は何度か登場します。『源氏物語』にはもっぱら「忘れ草生ふ」という形で出てきます。これは「忘れる」という意味です。博学な紫式部にとっては、単に「忘る」と書くより「忘れ草生ふ」とした方が自然だったのかもしれません。深読みをすれば、何かを忘れられるかどうかは自分の意思では決められない、という想いが込められているようにも感じられます。
<藪萱草の花言葉>
藪萱草には「愛の忘却」「悲しみを忘れる」「憂いを忘れる」といった花言葉があります。どの花言葉も、古くから「忘れ草」と呼ばれ、親しまれたことに由来しています。また、「一夜の恋」という花言葉もあります。こちらは藪萱草の花が朝咲いて夕方にはしぼむ「一日花」であることから来ているようです。
分類 | ユリ科ワスレグサ属 |
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原産地 | 中国 |
英名・学名 | Hemerocallis fulva var. kwanso |
別名 | わすれぐさ |
花色 | オレンジ、赤 |
鑑賞期 | 夏期 |
花言葉 | 愛の忘却、悲しみを忘れる |
当園での植栽エリア | 園周辺遊歩道 |
関連LINK | ・NHK出版 みんなの趣味の園芸 ・みんなの花図鑑 powered by goo ・NHK やまと尼寺 精進日記「春の野草の天ぷら」 |
※植物名称は、通名・流通名で記載している場合があります。
※「花木図鑑」でご紹介する植物は、当園及び周辺地区で生育している植物です。
※花木は生き物です。記載の鑑賞期に必ずご覧頂けることを保証するものではありませんのでご了承ください。
※「花木図鑑」やガーデンの植物については、Twitterやブログの #あくね花だより でもご紹介しています。
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