花木図鑑|ひみつの花園 | 仏の座 ホトケノザ
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花木図鑑

FLOWERS AND TREES

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仏の座 ホトケノザ

  • 花が咲く
  • 一年草
  • 山野草
  • 動画情報あり
まるで仏様の台座のような丸い葉っぱに可愛らしいピンクの花が咲く野草。春の七草に「ホトケノザ」があるが、現在「子オニタビラコ」と名付けられている草が(昔ホトケノザと呼ばれていて)食されていたようである。

 

<春の七草、仏の座?>

仏の座(ホトケノザ)という名前を聞くと、春の七草を思い浮かべる方もいるかもしれません。
春の七草は「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ」で、たしかに仏の座も含まれています。
しかし、春の七草に出てくる仏の座は、本当はキク科のコオニタビラコのこと。昔はコオニタビラコも仏の座と呼ばれていたので、覚え歌の中に入っているようです。
見た目も、仏の座は紫の色の花なのに対し、コオニタビラコの花は黄色です。それなのに、なぜ同じ名前で呼ばれたかといえば、両者とも花の根元にある葉が、まるで仏様の台座(蓮華座)のような形をしているからです。

 

<仏の座を食した牧野富太郎>

春の七草の仏の座は、本当はコオニタビラコのことだと先述しました。
ところが、植物学者の牧野富太郎は、食用ではない仏の座を食べたことがあるのです。著者『植物記』には、このように書かれています。
 
「ホトケノザを試に煮て食つて見たまへ、ウマク無い者の代表者は正に此草であると云ふ事が分る、しかし強いて堪えて食えば食えない事は無かろうがマー御免蒙るべきだネ」
 
生き生きとした筆致で感想が書かれ、仏の座が美味しくなかったことが伝わってきます。植物に日本一詳しいはずの人がなぜ食用でない草を食べたのでしょうか?
他の部分も読むと、牧野富太郎は仏の座とコオニタビラコ(牧野によればタビラコ)の違いや、混同されていることはもちろんわかっていました。仏の座を春の七草だとした江戸時代の小野蘭山や貝原益軒の間違いを辛辣に指摘もしています。
さらに読み進めると、端的にこのように書いています。
 
「七種(七草のこと)のホトケノザはキク科植物の一つなるタビラコの古名である。」
 
まさにこの説が今では正しいとされています。牧野富太郎先生は、あえて食用ではない仏の座を食べてみたようです。もしかしたら、仏の座があまりに美味しくなかったからこそ、この説にさらに自信を持ったのかもしれません。どちらにしても、植物を見るだけでなく食べてみる姿勢には感服させられます。

 

<仏の座のもう一つの名前>

仏の座には「三階草(さんがいぐさ)」という別名もあります。葉が茎にまるで段のようについていることから、名づけられたそうです。葉は4段のこともありますが、名前になった3段の葉をつけているものが多いようです。
また「三階草」ではなく「三界草」と書くこともあります。「三界」とは、仏教用語で、欲界、色界、無色界という3つの世界のことを表します。簡単に言うと、欲界は欲望に支配される世界、色界は物質にとらわれた世界、無色界は欲にも物質にもとらわれない世界のことだそうです。仏の座の別名には「三界草」という表記もよく合っている気がします。
またホトケノザの当て字として「元宝草」「宝蓋草」というものもあります。知らなければ読めない難読漢字ですね。

 

<仏の座の花言葉>

仏の座の花言葉は「調和」「輝く心」です。この花言葉は、仏の座の由来となった蓮華座に座る仏様の姿から連想されたものでしょう。
今の日本人は、葉の形を見ても、仏様の蓮華座に似ているとは思いつかないかもしれません。仏の座という名前がつけられた遠い昔の日本では、仏様の存在が今よりずっと身近だったことがうかがえます。
 
分類 シソ科オドリコソウ属
英名・学名 Lamium amplexicaule
別名 三階草・三蓋草・サンガイグサ
花色 ピンク
鑑賞期 3~6月
花言葉 調和・輝く心
当園での植栽エリア 園内遊歩道周辺
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モデル協力:もり・りさ 中尾 聖